大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成11(行コ)35 行政事件裁判例

主 文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一 控訴の趣旨

一 原判決を取り消す。

二 被控訴人が東日本旅客鉄道株式会社に対して平成九年六月一九日付けでした第

一種鉄道事業信越線の一部廃止許可処分を取り消す。

第二 事案の概要

一 事案の概要は、以下のとおり付加、訂正し、次項のとおり当審における控訴人

らの主張を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中「第二 事案の概要」記載

のとおりであるから、これを引用する。

1 原判決二頁六行目の「ついて」の下に「、本件路線の沿線に居住し、又は長野

県内に居住するという控訴人らが」を加える。

2 原判決五頁一〇行目の「原告」を「本件路線の沿線に居住し、又は長野県内に

居住するという控訴人ら」に改める。

二 控訴人らの主張

控訴人らは、憲法(一三条、二二条、二五条)上の権利として、交通権すなわち

「誰でも、いつでも、どこへでも、便利に安全・快適かつ低廉に移動することがで

き、自由に貨物を送り、受け取ることができる」権利を保障されている。

したがって、控訴人らは、本件処分により右にいう交通権を侵害され又は必然的

に侵害されるおそれのある者として、本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を

有するというべきである。

第三 当裁判所の判断

一 当裁判所も、控訴人らは本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を有しない

ものと判断する。その理由は、次に付加するほかは、原判決「事実及び理由」欄中

「第三 当裁判所の判断」記載のとおりであるから、これを引用する。

控訴人らは、「交通権」という憲法上の権利を有し、これを侵害され又は必然的

に侵害されるおそれがある者であることを強調するが、右引用に係る原判決判示の

とおり、本件処分の根拠法規が鉄道利用者の個別的な権利利益を保護すべきものと

する趣旨を含むものとは解されないから、控訴人ら主張の「交通権」という権利が

認められるかどうかを検討するまでもなく、控訴人らには本件処分の取消しを求め

る訴えの原告適格がないといわざるを得ない。

二 よって、控訴人らの本件訴えを却下した原判決は相当であり、本件各控訴は理

由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七

条、民事訴訟法六七条一項、六一条、六五条一項本文を適用して、主文のとおり判

決する。

東京高等裁判所第五民事部

裁判長裁判

官 魚住庸夫

裁判官 小野田禮宏

裁判官 貝阿彌誠

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!